ジャンルの反復横跳び

宝塚歌劇その他、心惹かれたものについて

非日常なふたりぐらし

「洗濯物が揺れてるの観るの好きなんだよね」

そう友人は言った。私は彼女が床で寝るのを見ながらのんびり過ごすこの昼間が好きだと思った。

一人暮らしは気楽だ。大学生活からだから慣れたもので、もはやだれかと暮らせるのか不安にさえなる。整理整頓が得意ではない私は、人様を常に招き入れられる部屋を1週間保てればいい方である。

そんな私の部屋に先日、四泊五日の旅程で友人が泊りにきた。大学生活の中で一番私が訪れた部屋の主であった彼女は、就活のリベンジのために東京を訪れ、我が家はその宿になったのだ。

土曜。私と彼女は百貨店の地下に繰り出した。「七夕スイーツ食べようよ!」という互いの意見が一致したからである。甘いもの最高。結局デパ地下ではお惣菜を買い込んで夜ご飯を食べ、コンビニのスイーツを片手に沢山話をした。彼女の内定を正座した彼女から聞いたときは、とってもとっても嬉しかった。いやぁおめでとう。

日曜。朝から「動きたくないねぇ」といいながら部屋でのんびり過ごす。私は洗濯をして、彼女は皿を洗って。私はパソコンに向かって、彼女は寝転んで本を読む。

月曜。私は彼女に鍵を置いて先に家を出た。今日は彼女が昨日作ってくれたみそ野菜炒めがお弁当だ。仕事の後、先輩とご飯に行って帰ると、彼女は台所に立っていた。友人と会ったものの夜ご飯を食べ損ねたという。人が料理をしている音を背中で聞きながら、私はウキウキとゼリーを食べる。

火曜の朝。私と彼女は一緒に家を出て、またねと言って別れた。

金曜の夜に来て、彼女が帰ったのは火曜の朝。会社員としての生活になれていなかった私は、平日に他人が部屋にいてやっていけるか自信がなかった。彼女を泊めたい気持ちはもちろんあったが、会社であった嫌なことを理由に八つ当たりしたら最悪だからだ。しかし彼女が他の人の家に行く前日の夜、私は引き留めたい気持ちでいっぱいになっていた。誰かと暮らすのがこんなに楽しいなんて、家に帰って来た時に他の人が生活していることがこんなにほっとすることだなんて、この期間を過ごすまで知らなかった。

今度はもう少し長く泊まってくれてもいいよ、と素直じゃない言い回しのメッセージを送って、今日も私は会社に行く。