ジャンルの反復横跳び

宝塚歌劇その他、心惹かれたものについて

“しゃべるだけ”の青春と舞台の妙ー舞台『セトウツミ』感想

舞台『セトウツミ』、昨日と今日と連続で観てきました!!めちゃくちゃ楽しかった。
川べりで喋るだけのはずの時間がキラキラ眩しく映るのは、有澤樟太郎さんの瀬戸と牧島輝さんの内海はじめ役者の皆様が本当に楽しそうだったからかなぁ。

厳選されたエピソードが小気味よく展開されていくので、 はじまったら本当にあっという間だった。5/26の梅芸貸切公演後のトークショーで牧島さんも仰っていたけれど、 2話完結でしっかり回収されていくタイプの話、「下の句とケンカ」・「上の句とタンカ」、「過去とファイル」・「未来とフォルダ」あってどっちもめっちゃ好き。

「下の句とケンカ」・「上の句とタンカ」は途中で瀬戸と内海が睨めっこみたいになる場面が2回あるのだけれど、今日1回目は有澤さんと牧島さん2人とも、 素で笑ってましたよね?笑

「過去とファイル」・「未来とフォルダ」はもう複数観劇してはる人が多いのか始まるときから笑いが起こっていて、それでも後半の大爆笑が毎回起こるのは、お2人の演技と間合いはもちろん、照明や音響がガッチリハマったプロの業ゆえで、 つられて笑いそうって有澤さん言ってたな~ と思い返しながら今日もしっかり笑いました。

他にも、大爆笑!って感じではないけれど好きなのは 踏んだりと蹴ったり や パッカーとガッブー。瀬戸が内海に言う「お前最近、よく笑うな」 という台詞がね、サラッとしてるんですけどしみじみと良いんですよね。

結末に向かう ふわといと は初回は気付けなかった仕掛けに2回目は気が付けて。初回に感じた、何故だかわからないけどだんだん息詰まるような感覚は狙って作り出されていたのだと気付いて、瀬戸と内海が、有澤さんと牧島さんが凄い。続く「贈り物と劣等生」 では、内海が抱えてきたものが淡々とした語り口で語られる。僅かに震えた手から押し込めてきたものが伝わってくるようで胸がぎゅっとなった。漫画1話分、ほぼ1人で舞台を埋める牧島輝さんめちゃめちゃ凄い。川べりに現れた瀬戸に涙を見られまいと目を擦るところも胸にきた。「忘れ物と一等星」ではバルーンさん2号になった瀬戸とみんなが内海を助けにきて、内海は手紙の秘密に気付いて、そして幕切れに向かう。

なんか、なんだろうな、瀬戸みたいな明るくて色んなもの笑い飛ばしてくれて格好いいひと、そりゃあ一緒にいたくなるよなって、個人的には舞台版セトウツミを観て、すとんと腑に落ちた。

有澤樟太郎さんの瀬戸小吉を観られて良かった。

2人が川べりで過ごすことがなくなっても、LINEで、電話で2人の時間は続いていることを示してくれたのも嬉しかった。2人の関係はきっとこの先も続いていくのだろうなと思えた。

…からのスタンディングオベーション!初回の観劇の最後の最後、舞台のスクリーンに「スタンディングオベーション」と出た瞬間に やられたー! と思った。舞台でやってこそのエピソードが活かされててもう、スタンディングオベーションする1人目になりたくて仕方なかった。

強制的な~とか空気を読んで~とかじゃなくて、 観客の行動で成立する瞬間の一部になれたことが嬉しかった。

今だからこそ、ふたりだからこそのセトウツミが観られて幸せでした。楽しかった!