ジャンルの反復横跳び

宝塚歌劇その他、心惹かれたものについて

綺城ひか理さんベンヴォーリオが幸せでありますように

 星組ロミオとジュリエット』、東京公演がはじまりましたね。5/3までのB日程、5/23までのA日程ともに、どうか毎日無事に幕が上がりますようにと願います。

大劇場でB日程を観劇できた時は、ぴーマキュと瀬央ティボが似た者同士に見えたことが私的ロミジュリ新解釈で、暫くずっとB日程のことを考えていました。それから約1ヶ月ぶりに東京で数回観劇できたところ、どういうわけか綺城さんベンヴォばかり追いかけています。舞台を観劇した時にどこを観るかって、自分の無意識下の感情が暴かれるような気がしませんか。先日はついに綺城さんが出てくる暗闇を見つめるタイムがあって友人に驚かれたほど。落ち着いて私。綺城さんが好きなのか、ベンヴォーリオが好きなのか、綺城さんが演じるベンヴォーリオが好きなのかは冷静に見極めないといけないと思っています。。

 さて、そんなわけで今日はベンヴォーリオについてつらつらと書いていきたいんですが、まず綺城さんベンヴォのけしからん(好き)ポイントを語らせてほしい。1幕の仮面舞踏会のシーンでの女の子への接し方がけしからん。ぴーマキュと一緒に舞踏会を駆けるんですが、たとえば前を向いて立っている女の子の隣にスッと立って手を繋ぎ、驚いた女の子が横を向いたところで見つめて(身長差ー!)甘い言葉(聞こえないけど)を囁いて去っていく。かと思うとスカートを捲り上げたり壁ドンまがいのことをしたり、ハケ際で女の子を連れて消えるときもありましたねぇ…ええ。けしからん。あと2幕の『決闘』でマーキューシオが歌い出して暫く、高身長を活かしてものすごく瀬央ティボを見下しているんですが、紫月さんに声かけられたら目を合わせてふっと口角上げるのしんどい。漣さん、朝水さんはじめモンタギューの若者と仲良さそうなのもいいよね。

おっと、いきなり脱線しました。真面目にいきます。

 ベンヴォーリオに注目していて、幕が降りた後のヴェローナで彼は幸せだろうか、と思いを馳せるようになりました。1幕での彼はモンタギューのリーダーと呼ばれ、ロミオとマーキューシオと肩を組んで「世界の王」を歌い、時に2人の兄貴的存在のよう。でも2幕ではすごく無力で。

2幕冒頭の『街に噂が』で「お前は甘い 夢を見てるんだ」とロミオを責めた後、『決闘』でロミオの「誰が誰を好きになってもいい」という言葉を唯一正面から受け止めたベンヴォーリオ。ロミオの覚悟を受け取って「誰もが自由に生きる権利がある」と共に歌う。「モンタギューの名誉は」「苦しくても諦めるんだ」とロミオに迫った自分と、愛を貫く覚悟を決めたロミオに賛同したい自分との間で揺れていたのかなと想像します。

しかし直後、葛藤する自分を他所にマーキューシオは刺され、「ジュリエットを愛しぬけ」と告げて逝ってしまう。ベンヴォーリオはマーキューシオの死に動揺して、逆上したロミオがティボルトを刺してしまうのを止めることができない。また間に合わない。モンタギュー夫人に縋る彼が、そこで初めて歳相応の、不安げな1人の青年に見えた。

マーキューシオが死に、ロミオが追放された後の『狂気の沙汰』~『服毒』のシーン(ここの演出すごく好き)。リーダーであったはずの彼は、自分一人の声には誰も耳を傾けてくれないことに気が付いてしまう。「やめろ 聴いてくれ お願いだ」「マーキューシオの喪が明けるまで 待つんだ」という彼の声は、モンタギューにもキャピュレットにも届かない。頭を抱えるその手が震えていて、苦しそうで。「狂っている」のハイトーンからは悲痛さが滲む。綺城ベンヴォお歌が上手すぎるんよなぁ。その上ジュリエットが自殺したと乳母の言葉を聞いてしまえば、絶望してしまうことは容易に想像がつく。続く『どうやって伝えよう』で、綺城ひか理さんのベンヴォーリオは「伝えなければならない」ということは初めから悟っているように見える(対比するように書くが、瀬央ゆりあさんのベンヴォーリオは、歌う最中で決意を固めていく気がする。)。文字通り「どうやって伝えよう」か、とロミオの心情を慮って思い悩んでいる。

 綺城ひか理さんの演じるベンヴォーリオという人は、規範的な、優等生であろうとしたタイプなのかなというのが今のところの私の解釈です。大人に「子ども達の中の大人」であることを求められて、幼心にそれに応えようとしたんじゃないかな。ロミオがティボルトを刺した後、「あなたたちの憎しみが僕たちを駆り立てた 僕たちは犠牲者だ 誰が僕たちを責めることができる」とロミオを庇うベンヴォーリオの言葉が、「俺が何をしても大人達が仕向けたんだ」と歌うティボルトと似て聴こえた。大人のせいだ、と告げる彼はもしかして、ティボルトと境遇が近かったのかな。そう考えると、あかベンとぴーマキュがあんなに仲が良いあのヴェローナの平行世界で、瀬央ティボとぴーマキュが日々抱っこをせがみせがまれることもあるのだろうか。そんなifはともかく、本編を通して綺城ベンヴォはきっと自分の行い(ぴーマキュが刺されたのは自分がもっと瀬央ティボを押さえておかなかったからだ、とか、ロミオとジュリエットが死んでしまったのは自分が伝えてしまいロミオを一人にしたからだとか)をものすごく後悔したと思うし、その後悔を背負ってヴェローナの未来をつくっていくんだろうなと思う。

霊廟の場面で和解する両家を他所にずっとロミオを見つめ、キャピュレットとモンタギューが肩を組んで歩く中で一人トボトボと霊廟を後にするベンヴォーリオの未来が、どうにかこうにか幸せであってほしい。頼んだ、ヴェローナの仲間達そして遥斗さん大公。あとモンタギュー夫妻もね!


 最後に私が綺城さんばっかりオペラで追っている件についてですが、もうこればっかりは仕方ない。オペラ降ろしても幕が降りるその瞬間まで綺城ひか理さんに自動フォーカスするんだもの。

私は綺城さんの表情が好きです。見下すようにキャピュレットを煽る顔も、眉間に皺を寄せて苦悩する顔も、ロミマキュと無邪気に笑う顔も好きです。特にフィナーレの男役群舞めっっっちゃ良い。突然ウィンクしたかと思いきや歯を見せて笑ったりするしなんなん!?(好き) は~~~~綺城さん固定アングルと他の人を観るので目が2組欲しいな……。

満足したので今回はここまで!